*
「じゃあテストの順位返しまーす」
ついにこの時がやってきた。
何回味わっても慣れないよね、この時間。
「遠江〜」
先生に名前を呼ばれ、受け取りに行く。
席に戻り、テストをゆっくり開く。
!!12位!!!
今までで一番順位が良かった。
すごく嬉しい。頑張って良かった。
「っ遠江さん、俺天才かもしれん!」
そう呼ばれ、甲斐くんのほうを見ると、順位が書かれている紙を広げていた。
順位は、119位。
「えっ、凄い!119位?」
「前より70、80位アップやで?ヤバいはこれ。めっちゃ嬉しすぎる。」
満面の笑みで順位を眺めている。
ほんと、すごいと思う。
大したことはしてないから、甲斐くんが努力したから取れた順位であって。
ちょっと勉強しただけで上がる順位では決してない。
「他のやつに自慢してくる!」
たぶん私、今すごい笑顔だ。
他の人のことをこんなに喜んだこと、他にあっただろうか。
そのくらい、今とてつもなく嬉しい。
「イチイチイチ〜〜〜見て見てこの順位!ヤバない俺!!」
「うるさいなぁ……………………マジで?」
「俺、天才やと思うわ〜」
「………いや、そんなはず無いっ。……甲斐お前、カンニングしまくっただろ。」
「そないなこと、するわけないやろ!」
駿河くん、あれ相当びっくりしてるなぁ(笑)
すると、その周りの子たちも何事かと寄ってくる。
「えっ、嘘だろ。…あの甲斐が……119位?んなわけ……。」
「信じれん、俺甲斐より順位下じゃん…。なんかショック。」
「ふっ。」
「うわぁ、わかりやすく調子乗ってる〜」
「めっちゃドヤるじゃん。ムカつく〜」
「先生〜!!甲斐の順位おかしいと思います!!」
「いやぁ、な、先生もな、凄く信じ難いんだが、何回確認してもその順位に間違いはないんだよ。」
「嘘だあー」
「あの甲斐が、119位なんて………!!」
せ、先生まで……(笑)
皆さんどれだけ甲斐くんの順位を信じようとしないんですか(笑)。
そして甲斐くんは、みんなのことを煽るわ煽るわ。
「めっちゃスッキリしたわ」
「(笑)みんな全然信じてなかったね」
「ほんまなんやねん、あいつら。一言も褒めんとディスるばっかで。俺はそないにアホやないっちゅうねん。」
ブツブツ文句を言いながらも、嬉しそうだ。
「そや、なんかお礼させてくれへん?」
「え?いいよいいよ、お礼なんか」
「いや、俺がしたいねん。させてくれへんか?」
あまりにも真っ直ぐな目を向けるから、直視できなかった。
「じゃ、じゃあ、お願いします?」
「おっしゃ。決まりな。」
何故か更に嬉しそうになった。
