「かっ、……」


「か?」













「……かっこよかった、です。」




「………え?」



聞き取れるか聞き取れないかぐらいの声やったけど、俺にはしっかり聞き取れた。



え?かっこよかった?


一瞬何を言っとんのか、わからへんかった。

言われたこと、あるわけ無かってんねから。


すると、バチッと目が合った。

すぐに目を逸らされたが、だんだん顔が赤く染まっていくのがわかった。

不覚にも可愛えと思ってしもた。



「…ほんまに、ありがとぉな」


「っ、ほんとだからね?」


「わかっとるって」



気づいたら、無意識に頭を撫でていた。



「…あっ、すまん」


「……………うん」





うわ…引かれたやろ、たぶん。

気持ち悪いって思われてへんかなぁ。

いや、思われた。

さすがにキモいわ俺。

こういうのは
“ただしイケメンに限る”
っていうやつやろ?

完っ全に無意識やった…。

何しとんねん俺。



「…あぁー、今の無かったことにしといて」


「えっ、………………うん」





………あれ?今ちょっと残念そうにしてへんかった?

…いや、自意識過剰もほどほどにせぇよ。

そんなわけないやん。キモいぞ俺。





その後、他の人が教室に入って来て、俺らはなんとなく気まずい空気のまま、放課後になった。