《お願いしまーす》

と言う大きな挨拶で試合が始まった。


今回は県予選に行くための地区予選らしい。


相手チームは緑っぽい色のユニホームのチームだ。


強いのかな?勝ってほしいな。

頑張って!




いよいよ試合開始だ。



ボールは東海道ボールでスタートした。


素早いパスで、ゴール前に早速繫ぐ。


あっ、甲斐くんにボールが回った。


ダダンッとジャンプし、凄く速いシュートを放った。

ファーストゴールは東海道が決めた。


えっ、甲斐くんが決めた?
凄い!


甲斐くんが決めたおかげで、チームの士気が一気に上がるのがわかった。


あっ、いつもと少し違う笑顔。
でも、楽しそうに笑う爽やかな笑顔。


この笑顔も好きだな。








試合が進んで行くごとに、わかった事があった。




一つ目は、東海道は強いチームだということ。

相手チームが良かったのかもしれないけど、もうすぐ終盤にかかる今、もう取り返せないだろうと思うぐらいの点差はついている。





二つ目は、甲斐くんは二年生でありながら、チームのムードメーカーで、チーム一番の得点力ということ。

甲斐くんにボールが回ってくると、ほとんどと言って良いほどの確率でシュートを決め、そして得点にする。


甲斐くんの何よりの武器は、シュートの威力とコントロール、技術だと思う。


シュートを放つと、こんなの獲れないってと思ってしまうほど強烈な威力。


コントロールは、素人の私でさえ、上手いとわかるレベル。
相手チームのキーパーの隙を見抜いて、空いているところを狙って綺麗にゴールに入る。
 

技術は、おもいっきり打ってくるのかと思ったら、フェイントを入れて時間差で打ってきたり、ワンバウンドありでゴールに入ったりで、見事にキーパーを翻弄させている。


パスも絶品で、一瞬どこにボールがいったのかわからなくなるぐらい華麗なパスを何度もしている。




かっこいい、そう思うのは当然なように思えた。



「あやちゃん、凄いね!」


「うん。うちのチーム、こんなに強いなんて思ってなかった。」