「それならいいんですけど、いつもより時間かかっているように感じたので、心配になって、すみません、声をかけてしまいました」

「ありがとう、今出るから」

「はい」

ガラス越しにうろうろしていた真山さんの姿が、なんか可愛くて、笑ってしまった。

バスタブから立ち上がった時、いつもより長い時間浸かっていたためか、ぐらっとめまいがして、倒れた。

結構すごい音がして、私は気を失った。

俺はまりえさんが心配で仕方なかった。

表情が暗いと心配事があるのだろうかとか、入浴にいつもより時間がかかっていると、何かあったのかとか、そんなことを考えていると、ものすごい音がバスルームから聞こえてきた。

この音はまりえさんが倒れたんじゃないかと嫌なことが脳裏を掠めた。

すぐにバスルームへ行くと、何も音が聞こえてこない。
「まりえさん、大丈夫ですか、まりえさん」

まりえさんの返事がない。

「開けます、失礼します」

俺の目に飛び込んできたのは、まりえさんが倒れている姿だった。