「仕事って言っても中々出来るもんじゃないわよね、ずっと張りついていないといけないんだもんね」

私はなんか申し訳ない気持ちになった。

この会社のオフィスにはコーヒーが常備されている。

自由に飲めるようになっている。

「社長、真山さんにコーヒー持っていってあげたいんですがよろしいでしょうか」

「いいわよ」

私は早速コーヒーを真山さんに運んだ。

ビルの自動ドアを通り、横に停めてある真山さんの車のガラスをノックした。

真山さんは急に現れた私に驚いた様子だった。

車のガラスを開けて「まりえさん、どうされたのですか」と声をかけた。

「はい、コーヒーどうぞ」

「あっ、ありがとうございます」

真山さんはコーヒーを受け取った。

「あのう、さっきの話ですが、俺でよければ依頼受けますよ」

私はポカンとしたままじっと真山さんを見つめた。

真山さんは車から降りて、私に近づいた。

「あの、ほかに候補がいるなら、そいつじゃなくて俺が」