「でも唯くんは雨そんなに嫌いじゃないでしょ」 「嫌いでも好きでもない」 「通り雨みたいな時は好きで、こういう雨は嫌い」 「そう」 「つまりどっちでもない」 「あたりー」 ははっと笑った唯くんはどこか残酷に見えてゾクッとした。 唯くんの中では大概のものは“好き”か“どっちでもいい”。 つまり、嫌いではないけれど好きではない、どっちでもないもので。 唯くんの中で何が好きで、何がどっちでもいいのかは分からない。 せめて私が“好き”に入ってくれていればいいんだけど。