「一番の敵は沙弓ちゃんなわけじゃん」
「敵って⋯」
「敵でしょ、敵。恋敵」
「それはそうだけど」
「他の女の事は言えても肝心の沙弓ちゃんの事を言えないってのはどういうことよ」
エリーの言葉にウッとダメージを受ける。
「幼なじみだし、あの阿久津くんも沙弓ちゃんにはなんだかんだ優しいし甘いし?でも彼女は翼なんだからね!?」
「⋯うん」
「思い出に浸る暇があるなら一回くらいガツンと言ってみなさいよ。阿久津くんにも沙弓ちゃんにも」
唯くんにも沙弓ちゃんにも不満やイラッとくる事があるけれどそれを口にする事が出来ない。
たまに勇気を出してみてもそれはその時だけの勇気で、結局は何も変わらない。



