「え⋯」
「だから、傘ねぇの?」
目の前の男の人はビニール傘をさしながら、私の事をマジマジと見つめた。
あ、この人よく見ると私と同じ学校の制服着てるし⋯見た目も格好いい。
っていうか、滅茶苦茶タイプ。
ビニール傘越しに見た彼にボワっと温かい何かが湧いてきて頬が赤くなったのが自分でもわかった。
「聞いてんの?」
「え、あ⋯」
彼に見惚れていると少し強めに聞かれてハッとする。
「ないです⋯買おうにも売れ切れてて⋯」
そこまで言ってこの人はどうしてそんな事を聞くんだ?と疑問に思った。
もしかして傘を貸してくれるのかな?なんて思ったけど彼が持っている傘は一つだし、貸すわけがない。
だけど、彼は⋯唯くんは違った。



