「まぁいいじゃん。誕プレ選びでしょ?デートじゃないって」
自分でデートだと冷やかしておきながらそう言うエリーは何だかんだ優しくて大好き。
「彼女は翼なんだし、余裕持ちなって!」
「⋯うん、」
「もし阿久津くんが翼なかした時には私がぶっ飛ばしてやるからさ!」
「エリーなら本気でぶっ飛ばしそうで怖い」
スラッとしていてモデルのような体型のエリーは最近キックボクシングを始めたそうでそのセリフの本気度が違った。
「でも阿久津くんも阿久津くんだけど沙弓ちゃんも沙弓ちゃんだよね」
「え?」
「翼の彼氏って知ってんでしょうが。いくら幼なじみだとしてもちょーっと図々しいところあるよね」
「でも幼なじみってそういうものなのかもしれないよ。特別っていうかさ⋯」
「うーん⋯そういうもんかねぇ。私も幼なじみなんて居ないからよく分かんないけどさ」
私にも幼なじみという存在はいないから実際どんなものなのかよく分からない。
どれくらいの時間を共有して、お互いがどれくらい特別で大切なのか。
全然わからない。



