「⋯あーいうの、嫌」
「あーいうのって？」
「⋯他の女の子にベタベタしたりするの」
とんがらせた唇からようやく出てきた声は消え入りそうな程小さかった。
「俺からベタベタしてる訳じゃない」
「それはそうだけどっ⋯それを許してるのは唯くんでしょ？」
「つーかそんなベタベタしてた？」
「してた！滅茶苦茶してたよ！」
そう言うと唯くんは「そうか？」なんて首を捻った。
「もし、もし私が他の男子とベタベタしてたら唯くんはどう思う？」
「無理」
「っなら、唯くんも他の子とベタベタしないで」
"無理”と即答した唯くんに軽く舞い上がりながらも、それなら唯くんだって気を付けてよと思う。
「だからベタベタしてねぇって」
「してる！あれは私から見たらベタベタしてるの！だから今度から気を付けてね！いい？」
私にしては強く言えた方だと思う。
唯くんも納得したような微妙な表情だったけれどとりあえずは頷いてくれた。
