「唯くんは感動しなかった?」
「さあ⋯。そういうの全然わかんねぇよ」
「えー⋯」
「婚約者は胸糞悪ぃやつだし、幼なじみはラストまでウジウジしてるし、何が良いのかさっぱり」
そう言った唯くんはまた一つ、欠伸を零した。
人が⋯それも彼女が良かったといっている映画をここまでコテンパンに酷評する神経は正直どうかと思う。
だけどそういう正直なところが唯くんらしいっちゃ唯くんらしくもあり⋯、憎めない部分でもある。
でも、明らかに好みじゃない映画。それを何度も何度も欠伸をしながらも最後まで寝ることなく映画を見てくれていたことを私は知っている。



