戯れ、ランデブー。 【完】



いっつもそうだ。

唯くんは絶対に塩味を譲らない。


なら一つずつ買えばいいじゃんと思うだろうが何だかそれはそれで寂しい気がして嫌。


なんて、ただの私のワガママなんだけどさぁ⋯たまには譲ってくれたっていいじゃん。



しょぼくれながらチケットカウンターで目当ての映画のチケットを購入する。



「運・命~恋の悪戯~」


タイトル部分にそう書かれたチケットはとてもダサい。
しかし、内容は中高生が好む純愛もので感動するらしく今とても人気で話題になっているんだ。


だけど唯くんが楽しめそうな映画かと聞かれたら⋯そうではないだろう、絶対に。



絶対に好みじゃないだろうし興味すらないと思うこどこうして付き合ってくれてるのは唯くんなりの優しさなんだよね⋯。


今日も塩味にされて沈んでいた心が温かみを帯びた気がした。


そんな私は恐ろしく単純なのかもしれない。