帰りのホームルームが終わった途端、「翼、帰ろーぜ」そう言って立ち上がった後ろの席の彼、つまり唯くんは今日もぺたんこの鞄を手にしている。 「ちょっと待ってて、お手洗い行ってくるから」 もう帰る気満々の唯くんにそう言えば面倒そうに僅かに顔を顰めたけれど「わかった」と言ってくれたのを確認してメイク道具の入ったポーチ片手にトイレへと駆け込んだ。