「翼さん⋯」 前髪で隠れた瞳が私を捉えた。 「こ、こんにちは⋯?」 「こんにちは⋯」 自分で言っておいてこんにちはって何だよと思ったのに沙弓ちゃんは律儀にも返してくれた。 透き通る様な綺麗な声。 だけどこの声が「唯」と呼ぶのは気に食わない。 それを口に出す事なんて出来ないけれど。