戯れ、ランデブー。 【完】



教室まで行くと珍しく私より先に来ていた唯くん。

友達と談笑する彼の傍まで行けば「翼」と呼ばれて手招きをされる。


「おはよう、唯くん」

「おはよ」


唯くんは呼んだくせにそれだけを言うと友達の方へと向き直って会話を再開させた。

友達と話している唯くんは時折呆れた表情を見せて笑ったりと、その姿に今日も格好良いなぁ、なんて見とれてしまっている自分にハッと我に返る。




「ゆ、唯くん!」

「あ?」

「ちょっと!話があるんだけどいいかな!?」



私のあまりの勢いに少し狼狽えながらも唯くんは「わかったよ」と言ってくれた。

教室ではあれだからと廊下へと呼び出せばトロトロと歩く唯くんにイラッときてしまい、唯くんの手を引っ張って歩いた。