戯れ、ランデブー。 【完】



「ねぇ、翼」

「⋯」

「あんた彼女でしょ!?文句言うまではいかなくても、偶然装って行けば?そんであの手を無理やりにでも離しなさいよ」

「そんなの⋯無理だよ」



無理、出来ない。

唯くんに実際「面倒」だとか「交友関係に干渉するな」と言われた事こそないものの彼はそういう束縛を嫌がる人だと思う。


もしも、唯くんにそう言われてしまったら⋯

もしも、唯くんに別れるなんて言われてしまったら⋯


そんなの嫌だった。



「帰ろう、エリー⋯」


そう言った私にエリーは納得していなそうだったけど「分かったよ」と言って駅の方まで一緒に歩いてくれた。