「翼、ちょっと来て」
グイッと涙を大きな手で拭った唯くんは私の手を引きお家の中へと連れていく。
階段を上り唯くんの部屋へ来ると座るよう促されベッドを背にする形で座れば唯くんはベッドサイドにある引き出しをゴソゴソしだした。
「唯くん、何してるの?」
唯くんはこちらに背を向けている為何をしているのか分からなくてそう問いかければ、ニヤッと笑った唯くんの手にはピンク色の小さな箱。
「それなに?」
唯くんには似合わないピンク色に首を傾げれば⋯
「翼にプレゼント」
「⋯え、?」
「来週の土曜、翼誕生日だろ?その時に渡そうと思ってたんだけど⋯今渡したくなった」
「はい」と渡されたピンク色の箱に目をパチパチする私。
そういえば誕生日すっかり忘れてた⋯。
「ほ、本当に私へのプレゼント?」
「そーだって。開けてみ?」
まだ驚いたまま箱を開ける事の出来ない私に唯くんが少しだけリボンを引っ張る。
「早く」
唯くんに急かされ、緩くなったリボンを解き箱を開くと─────────



