私の家から唯くんの家までをひたすら走る。


まだ自転車を返されていないことを思い出しながら、またあんな風に唯くんの後ろに乗せて欲しいと彼に思いを馳せる。




彼女の自信なんてなくて。



それでも唯くんが大好きで。





『それは誰にも負けない自信があるし、唯くんから嫌いだって言われるまで離れない自信もある』


『唯くんの事は傷付けない。裏切らない』



『それくらい大好きだから、安心していいよ』






沙弓ちゃんにあんなこと言っておいて自分から手を離した。

傷つけた。

信じることもせずに、裏切られたと思って裏切っていたのは私の方だった。





「ごめん唯くんっ⋯」