戯れ、ランデブー。 【完】




「阿久津くんの家に行ったのは噂の真相を聞くため」

「しんそう⋯」

「まあ阿久津くんは私に話すのを嫌がったけどウシウジ2人組じゃ埒が明かないし、ここはエリー様が一肌脱いでやろうじゃん!ってなって問い詰めたらちゃんと話してくれたよ、彼」

「⋯っ、」






「あの日沙弓ちゃんを保健室に連れて行った時、告白されたって」

「⋯っ!」

「それでいきなり腕引かれてキスされたんだって。直ぐに離したけど突然の事だったし避けられなかったんだって」

「そんな⋯」

「阿久津くんも動揺してその時は何も出来なかったけど、その日の夜わざわざ沙弓ちゃん呼び出して告白断ったって」

「え⋯、」

「翼はちゃんと向き合ってもらってるじゃん。大切にされてるじゃん」




キス⋯したんじゃなくて一方的にされた⋯?



「その話って⋯本当?」

「本当に決まってるでしょ?」

「だってそんなこと一言もっ⋯」

「翼が!」

「っ」

「翼が聞かなかったんじゃないの?悪い方にばっか考えて阿久津くんは敵だと思い込んで、話なんて聞かずに信じることもしなかったんじゃないの?」



怒った表情でそう言ったエリーにハッと昨日の事を思い出す。


唯くんも沙弓ちゃんも何かを話そうとしていた。


沙弓ちゃんは何度も「違う」と言っていた。

それは唯くんは悪くないということを言いたかったのかな。

⋯話を聞いて欲しいという唯くんの言葉も無視して⋯私、誤解してた⋯⋯?