「唯くん、沙弓ちゃんとキスした後私とキスするのを嫌がったの⋯それってそういうことでしょ!?」
「⋯」
「結局は沙弓ちゃんが大切で⋯唯くんに恋愛感情があるとは言い切れないけど結局は沙弓ちゃんを拒むなんて出来なくてっ、⋯最近バイトバイト言ってたのだって本当は私に嫌気がさしてきたのかもしれな、」
「バッカじゃないの!?」
ドン、と大きな音がしてエリーがテーブルを叩いた。
「っ」
「あんた、本当にそんなこと思ってんの?阿久津くんの一番は結局は沙弓ちゃんだって、本気でそう思ってる!?」
「だって⋯」
「信じなよ、好きなら。阿久津くんに好きって言われたんでしょ?ならその言葉を誰よりも何よりも信じなさいよ!」
私の目をしっかり見つめ叫ぶエリーに、私だってそうしたいと、信じたいと私も叫んだ。
「でもっ!どうしたって嫌なんだよ⋯2人がキスしたって聞いて⋯否定しない2人に⋯頭の中ぐちゃぐちゃなんだよっ⋯」
自分でも子どもっぽいと、逃げているだけだと分かっている。
でも頭の中がぐちゃぐちゃで冷静な判断なんて出来なくて⋯それが分かっているからこそ涙が込み上げてくる。



