戯れ、ランデブー。 【完】


部屋に入ると問答無用でエリーにおにぎりを押し付けられ、食欲のない私がやっと1つ食べ終えた頃、エリーが口を開いた。




「原因は阿久津くんと沙弓ちゃんの噂?」



その声は確信めいていて、隠すこともできないと頷けば「はあーっ」と深いため息を吐かれた。




「そんな落ち込んでる暇があるなら阿久津くんとこ行ってきなよ」

「行けないよ」

「どうして?」



エリーは私と唯くんがただ喧嘩しただけだと思っている。
でも違うんだ。本当は⋯⋯⋯




「別れた⋯唯くんと⋯」

「⋯⋯⋯はあああああ!?」

「ちょ、声大きい、」

「何で!?何で別れたいの!?」



昨日の私の様に腕を掴み揺さぶるエリーを落ち着かせながら昨日の事を話す。




「沙弓ちゃんも唯くんも否定しなかった⋯」

「⋯だから別れたの?」

「だってキスしたんだよ!?そんなのっ、あんまりでしょっ⋯」




ギュッと握りしめた手が痛い。