空き教室を出た私はその足で教室へと向かい丁度今登校してきたばかりの唯くんの元へ向かう。
友達の話を聞いているんだか聞いていないんだかわからないボーッとした視線がムカついてしょうがない。
「唯くん」
「翼?」
「来て」
一切笑みなんて見せずにそう言った私に唯くんは不思議そうにするも唯くんの手を強く引いて今度は誰も来ない校舎の端にある廊下へと連れて行く。
「翼、」
「⋯」
「翼っ」
「⋯」
「翼!」
「沙弓ちゃんとキスしたって本当?」
歩いている途中何度も唯くんに名前を呼ばれたがそれを全て無視して歩き続けていれば廊下の端へと辿り着き、痺れを切らした唯くんが私の手を逆に引っ張ったのと同時にそう聞いた。



