「答えてよっ⋯」
震える私の声が響く空き教室。
僅かな沈黙の後、静寂を破ったのは沙弓ちゃんだった。
「キスしました」
「っ」
「保健室に付き添ってくれた唯とキスをしました」
「⋯っなにそれっ⋯」
沙弓ちゃんの肯定する言葉に頭の血が湧くような感覚がして襲ってきたのは圧倒的な怒り。
ショックとか悲しいとか、そういう感情よりも怒りだった。
「ふざ、っけんな!」
「⋯っ」
「キスしましたって何!?」
「つばさちゃ、」
「何でそんなことっ⋯!」
ガッ、と沙弓ちゃんの肩を掴み揺する私はアミたちと変わらないんだろうか。
ヒステリックな女なんだろうか。
でもそれでもいい。
それでもいいよ、もう。



