戯れ、ランデブー。 【完】


暫くその場から動けずにいるといつの間にか女子たちはトレイを出ていた様で、カチャッとロックを外す音が寂しげに響く。



なに、キスしてたって。


混乱する頭と同様する心。


全然意味わかんない。


っていうか私はそういう噂は信じないタイプだし、きっとタエとかいう子の勘違いだ。
そうに決まっている。


でも⋯保健室に付き添ってから様子のおかしかった唯くん。

キスを拒んだ唯くん。


勘違いだと思えば思う程現実を突き付けてくるみたいに怪しいことばかりが頭に浮かんできて涙が出てくる。



「嘘だよそんなの⋯絶対うそっ⋯」



ギュッと噛み締めた唇からはじわりと血の味がした。