ドンッ───────、
と音がして体に僅かな痛みが走る。
「っ悪い⋯!」
「唯くん⋯?」
唯くんにキスを拒まれたのだと理解するのに時間は掛からなかった。
「悪い⋯怪我してっ、」
「大丈夫だけど⋯」
唯くんの言葉を遮った私に唯くんはあからさまにバツの悪そうな表情をしている。
押された瞬間は少しだけ痛みを感じたけどそんなことはどうでも良くて。
怪我とか本当にどうでも良くて。
唯くんに拒まれた。
その事実だけが私を混乱させる。
「唯くん、?何で⋯」
「悪い⋯」
「キス、嫌だった?」
「⋯今はそういう気分じゃない」
「気分⋯?」
「今は出来ないっていうか⋯悪い」
今まで唯くんに突き飛ばされたことなんて1度もなくて。
キスを拒まれたたことも1度もなくて。
ただただ混乱した。



