戯れ、ランデブー。 【完】

「なに?」

「俺の授業中に居眠りとはいい度胸してんな阿久津。でも今は説教より伊藤を保健室へ連れて行ってやれ」

「⋯保健室?」

「先生大丈夫です。私一人で⋯」

「ほら阿久津!早く連れて行ってやれ」


一人で大丈夫だと言うさ沙弓ちゃんの言葉を遮り唯くんに指示する教師に唯くんは沙弓ちゃんの方を見て立ち上がった。


「行ってくんね」


私の頭をクシャリと撫でた唯くん。
その言葉と行動はきっと私への気遣い。

さすがにこういう時まで嫉妬する様な女ではない。

沙弓ちゃんは体調が悪いんだし唯くんは委員なわけだし。

だから大丈夫という意味を込めて頷けば唯くんは沙弓ちゃんの席まで行き、そのまま沙弓ちゃんを気遣いながら教室を出て行った。