「⋯すみません」
授業の途中、沙弓ちゃんが遠慮がちに手を上げた。
「伊藤、どうした?」
「ちょっと体調悪くなってしまったので保健室で休んでいていいですか?」
「確かに顔色が悪いな。いいぞ、保健室行って休んで来い」
沙弓ちゃんがそう言うと教師はすぐに了承し、
「それと保健委員、伊藤保健室まで連れて行ってやれ」
そう言った。
保健委員といえば⋯⋯、
男子は唯くんで、今日は女子の保健室の子は休みだったから今付き添えるのは唯くんしかいない。
「唯くん⋯、唯くん⋯!」
「⋯ンあ?」
「呼ばれてる⋯!」
後ろを向いて、授業中だというのに机にうつ伏せて寝ていた唯くんの肩を揺すり起こす。



