「何でそういう事すぐ言うわけ?」
「わ、かんない⋯」
「翼のそういう所面白いよな」
触れる指にドキドキしながら、僅かに感じる痛さに気付かないフリをした。
そういう所、“好き”って言って欲しかった。
なんて、贅沢なんだろうか。
私はそういう事を思わず口走ってしまうくらい、大好きなのに。
綺麗って、見た目だけじゃなくて、ちゃんと唯くん自身を見て言っているのに。
もちろん唯くんは綺麗だけじゃない事も分かっているけど⋯。
「翼、」
「⋯っ」
ゆっくり触れた唇。
ちょっと冷たい唯くんの唇は、熱くなった私の熱を下げてくれた気がした。



