数秒経って、沙弓ちゃんが「顔を上げてください」と穏やかに言った。
「翼ちゃん、私聞いたんです」
「聞いた⋯?」
「唯から翼ちゃんが助けてくれようとしていたって」
「っ!」
「それだけで私は十分です」
「でも私は逃げようとっ⋯」
「でも逃げなかった。助けようと動いてくれた。だったら私は翼ちゃんを責める理由はありません」
「⋯っ」
「助けてくれてありがとうございました」
さっきの私の様に深く頭を下げる沙弓ちゃんに掛ける言葉が見つからなかった。
私なんかよりずっとずっと心の広く綺麗な沙弓ちゃん。
また、自分が恥ずかしくなった。
「翼ちゃん、私聞いたんです」
「聞いた⋯?」
「唯から翼ちゃんが助けてくれようとしていたって」
「っ!」
「それだけで私は十分です」
「でも私は逃げようとっ⋯」
「でも逃げなかった。助けようと動いてくれた。だったら私は翼ちゃんを責める理由はありません」
「⋯っ」
「助けてくれてありがとうございました」
さっきの私の様に深く頭を下げる沙弓ちゃんに掛ける言葉が見つからなかった。
私なんかよりずっとずっと心の広く綺麗な沙弓ちゃん。
また、自分が恥ずかしくなった。



