受け取ったティッシュで軽く塗りすぎたリップグロスを拭き取る。
「お、いいじゃん」
もう一度鏡を覗いて見ればCMでやっていた女優さんの様な⋯とまでいかないけれどなかなか馴染んでいる。
うん、いい感じ。
「これで阿久津くんもキスしたくなるね」
「そ、そうかな?」
「多分ね」
「多分!?」
「だってあの男理解不能だから」
「⋯は、ははは」
「HAHAHAHAHAHA!」
「ちょっと、いきなり外国っぽさ出すのやめてよ。びっくりするじゃん」
「だって何か悪い空気になったから」
自分の発言で気まずくしておいて、その上急に外国風になるエリーにすら理解不能だと言われる男。
阿久津 唯。
彼は私の恋人だったり、する。