戯れ、ランデブー。 【完】

唯くんの手に重ねた私の手を、唯くんがそっと離す。

そして離した私の手を自分の方へ引き寄せて手の甲に優しいキスを落とした。


「⋯唯くん、」


いきなりキスなんて⋯しかも手の甲にキスなんてするからビックリしすぎて一瞬息が止まった。

そんな私に唯くんは軽く笑ってもう一度キスをする。

それはまるで唯くんなりに「好き」という感情を示してくれているようでギュッと胸を鷲掴みにされたような感覚がした。


嬉しい、ドキドキする。そんな感情と、言葉が欲しい。という感情。

そのどちらの感情も、胸を痛くするには十分だった。