戯れ、ランデブー。 【完】





唯くんには伊藤 沙弓(いとう さゆみ)ちゃんという幼なじみがいる。

沙弓ちゃんはそんな目立つ様な子ではなく、クラスでも大人しいグループだしクラスメイトにも敬語で話すくらいお淑やかな子だ。



だけど唯くんだけは⋯唯くんにだけは、



名前を呼び捨てでよんだり、タメ口で話したり、笑ったり⋯なんというか素を見せている気がするんだ。


唯くんも唯くんで沙弓ちゃんの事を何かと気にしていて、一時期沙弓ちゃんがクラスの派手な子達に悪く言われているのを知ってキレたことがあるし。

明らかに沙弓ちゃんには優しいし、気を許しているし、⋯⋯彼女の私より大切にしているんじゃないかってくらい、私の目から見て唯くんは沙弓ちゃんを特別な存在としている気がする。




幼馴染みだから、と言われてしまえばそれまでだけど、沙弓ちゃんは唯くんに特別な感情を持っているような気がして⋯。


唯くんは唯くんであんなだし、焦りからくる唯くんへの不信感。


もちろん唯くんの事は好きだし信じているけれど、時々気持ちを疑ってしまう事がある。



そんな自分が許せなくて自己嫌悪に陥ってしまうのだ。