「⋯っ、ぅ⋯」
パシャパシャと水しぶきを上げて走る私を周りの人は奇怪そうに、時には迷惑そうに見る。
だけどそんなもの気にならない。
汚れるローファーも、濡れる靴下も、制服に跳ねる泥水も、何も気にならない。
「うぅ⋯ぁ⋯、」
ボロボロと流れる涙も気にならない。
気になるのは、唯くんと沙弓ちゃんだけ。
二人は今頃仲良く同じ傘に入り楽しく帰っているんだろう。
想像しただけで反吐が出る。
傘がない沙弓ちゃんに帰り道が同じ唯くんが傘を貸す。
些細なことだ。些細なことだけど、今の私にはとても堪えた。
とても傷ついた。ムカついた。



