「わかった」
唯くんがそう言った時、酷く落胆する自分がいた。
「本当!?ありがとう」
「どうせ帰り道一緒だしな」
「助かるよ、ありがとう」
二人の会話が雑音にしか聞こえない。
その雑音が煩くて煩くて遮るように俯いた。
「翼、悪ぃけどそういう事だから」
そういう事って何?
「また明日な」
俯いているから唯くんが悪いと思っているのか、それとも笑って「また明日」と言ってくれているのわかない。
だけど沙弓ちゃんが唯くんの傘に入ったのを見て顔を上げれば、
「ごめんなさい、翼ちゃん⋯またね」
申し訳なさそうに眉を下げる沙弓ちゃんがいてグッとまた更に黒いものが込み上げた。



