朝、ガヤガヤとした教室の端で手鏡片手に、昨日発売されたばかりの新色リップを唇に塗りたくる。
「テッカテカになってるよ」
そう言って笑うのは親友のエリー。
ショートカットでブロンズの髪の毛は染められたものだけど、実は欧米とのハーフ。
「そ、そうかな?」
「気合い入れすぎ。リップなのに真っ赤じゃん」
「うぅ⋯」
「ほら、これで拭き取りな」
確かによくよく見てみれば薄い赤色とグロスでナチュラルな色が出せるはずのリップなのに何回も唇を往復させたせいか口紅です!という感じの色になってしまっている。
エリーの様に目鼻立ちのハッキリした美人ならそれでも問題ないのだろうけど私の様な平凡な顔にはアンマッチだ。