「あ!いたいた。ごめんね、待った?」

こんな大都会の人混みの中でも、すぐに岡村を見つけられる。

「ううん、俺もさっき着いたところだから」


地元で再会して、一緒に東京へ戻った私たち。

こんな風に、典型的な恋人同士の待ち合わせの会話をするようになるまで、あっという間だった。

せっかく首都圏に住んでいるということもあり、天気のいい週末には、あちこち出掛けて楽しんでいる。



「未来に前から言いたいことあったんだけどさ…」

「え、何か不満?」

「いや。不満ではないんだけど、いつまで俺のこと岡村って呼ぶのかなって」

「え、ダメなの?」

「だってさ、もう単なるクラスメイトじゃないんだから。特別感が欲しいじゃん」

「うん…。でも、なんだか今更、照れちゃう」

「ふーん…。よし!じゃあ、今日から、俺のこと岡村って呼んだら、1回につき100円の罰金にしようかなー?」

「えー!?なにそれ!」

そんな風にふざけながらも、岡…もとい、隼人は、はぐれないように、そっと私の肩を抱きながら、歩幅を合わせて歩いてくれたのだった。






Happy Ending