「……あ、止めて、メティア。確かこの辺りだわ……」
湖畔まで川を下りきった二人の船は、アンの記憶を頼りに岸へと着けられた。
開けた視界には月明かりに照らし出された紺色の湖面が、金色の波紋を幾筋にも描いている。
「え? ちょっと、アン。ドコに行くんだよ?」
アンは船を降りたが、その美しい湖を顧みることはなかった。
彼女が瞳を向ける方角には、鬱蒼とした森が広がっていた。
「路はこの繁みの中にある筈なの。そう……此処だわ。そう! 間違いない」
黒く巨大な木立を貫きながら、少々興奮気味に声を上げる。
夜に訪れたことは一度もないが、背の高い木々の作り出すシルエットは昔見上げた風景そのままの姿だ。
吸い込まれるように進んだ森の奥には、一角切り拓かれたような小さな広場があった。
その真ん中にまるで腰掛けるために設えたみたいな三本の切株を見つける。
キョロキョロと辺りを見回しながら後をついて来たメティアは、突然立ち止まったアンに驚いて、慌てて急ブレーキを掛けていた。
「ああ~~ビックリしたっ!」
「え? あ、ごめんなさい。この切株の向こうに秘密の扉がある筈なの。今でもちゃんと残っていてくれると良いのだけど……」
再び歩を進め、切株の端を横切る。
湖畔まで川を下りきった二人の船は、アンの記憶を頼りに岸へと着けられた。
開けた視界には月明かりに照らし出された紺色の湖面が、金色の波紋を幾筋にも描いている。
「え? ちょっと、アン。ドコに行くんだよ?」
アンは船を降りたが、その美しい湖を顧みることはなかった。
彼女が瞳を向ける方角には、鬱蒼とした森が広がっていた。
「路はこの繁みの中にある筈なの。そう……此処だわ。そう! 間違いない」
黒く巨大な木立を貫きながら、少々興奮気味に声を上げる。
夜に訪れたことは一度もないが、背の高い木々の作り出すシルエットは昔見上げた風景そのままの姿だ。
吸い込まれるように進んだ森の奥には、一角切り拓かれたような小さな広場があった。
その真ん中にまるで腰掛けるために設えたみたいな三本の切株を見つける。
キョロキョロと辺りを見回しながら後をついて来たメティアは、突然立ち止まったアンに驚いて、慌てて急ブレーキを掛けていた。
「ああ~~ビックリしたっ!」
「え? あ、ごめんなさい。この切株の向こうに秘密の扉がある筈なの。今でもちゃんと残っていてくれると良いのだけど……」
再び歩を進め、切株の端を横切る。


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