この(すい)(れい)に遊ぶ二つの(フィラメント)に、水が(なび)く。砂が踊る。

 水の波は音を奏で、砂の舞は音を纏う。

 やがて一つに(まじ )わった愛は、あたかも糸と糸が()りそうように一本に紡がれて、水面に伸びたその穂先は、地下洞にこの世のものとは思えぬほどのまばゆい光を発した。



『神さまに』

 まどろみの時を与えてくれた神に感謝の祈りを捧げる。

 その一瞬、アンの下腹部がほんのりと輝きを放ったことに、二人は気付いただろうか?

『心から愛しています』

 それからアンは明朝再訪することを約束し、名残惜しそうに岸辺を目指した。

 ──ありがとう、アン。

 レインは水底の砂に身を横たえ再び眠る。

 ナフィルとリムナトを、両王家と両国民を、二国を取り巻く全ての生ける者たちを、その幸せを祈りながら。

 そしてレインも幸せに包まれながら、明日の日の出を楽しみに待った。