「あの時僕は、とっても嬉しかったんだ……君が僕に、助けを求めて、くれたことが。だから僕は、これからずっと、君を守っていこうと決めた……」

「ごめんなさい……あたしはいつも守られてばかりで……貴方を助けてあげられたことなんて……」

 レインの掌がアンの頬を風のように撫でる。

 アンはその心地良い感触に視線を落とし、微笑みながら首を振るレインを見つけた。

「違うよ……僕は君を、助けてきたばかりじゃない。僕もずっと、君に助けられてきたんだ」

「あた、しに……?」

 アンもレインと同じように、彼の頬を掌で撫ぜた。

 血の気が引いて透き通りそうな冷やかな皮膚。

 濡れても温かみを持つアンの指先に、レインは今一度生気を取り戻したようだった。