「此処にいるお前たちが全員死ねば、誰にも分からないことだからな。……そうだ、全部お前の仕業(しわざ)にしてやるよ、レイン! お前の正体を知ったお姫サマは、そうだな……抵抗するも凌辱(りょうじょく)され、果ては殺されてしまうってのはどうだ? 罪に(さいな)まれたお前も最後には自ら死を選び……くくくっ、最高のラストだ! そうしてやろう!!」

 結末までの脚本(シナリオ)をひけらかし、ネビアはレインから再びアンへ視線を落とした。

 まだ外したボタンは三つほど、その襟元をギュッと握り締め、思いきり両側へ引き裂いた。

「アンっ!!」

 レインとメティアが同時に叫ぶ。

 アンにはもう視界を(ふさ)いで耐え忍ぶしか、もはや心の逃げ場はない。

 しなやかで女性らしい鎖骨の凹凸と、真白い雪のような肌のふくらみが露わになる。

 しかしネビアの期待する景色は、まだ王女としての格式に守られていた。

「チッ、旅支度ですらコルセット着けてやがるとは……おい、お姫サマをうつ伏せにしろ!」

 ネビアの言いつけに家来たちはアンを半回転させ、思いがけずアンの瞳はレインのそれとかち合った。