「あ……あっ」

 ネビアはアンの真上から徐々に膝を曲げ、彼女の上に馬乗りになった。

 (おとがい)の先端にそっと指先を添え、そのまま彼女の頬を淫靡(いんび)な手つきで撫で上げる。

 アンは側近たちに両手両足首を握り締められて、小さく抵抗の声を上げるのが精一杯な状態だった。

「滑らかな肌だ……レインはこんなに気持ちイイ感触をずっと独り占めしてきたっていうのか」

「お願いだ、ネビア! 僕の出来ることなら何でもする! だから……!!」

「んじゃあ、そこでまばたきしないで見とけレイン。お姫サマよ、覚えてるか? あんたが初めて此処を訪れた時、王に謁見(えっけん)したあの時を。俺もあの場にいたんだぜ。なのにあんたは王への挨拶を済ませた後、レインに釘付けになったまま俺を見ることすらしなかった。あんただけじゃない、俺はずーっとそういう役回りだったんだよ! レインの光が作り出す影に隠されてきた暗い存在だった。だから俺はこの日を静かに待ったのさ。国を操ることなんて興味がないと思わせながらな。だがこれからは俺が王で、俺が神だ! だったらどうする? 俺の靴でも舐めて「王妃にして」と懇願するか? それとも生娘のまま湖の底に沈められたいか? もちろんあんたがまだレインに侵されていないと証明出来るならな。いや……レインもあんたを生贄にするために、今まで触れずにきたのかもなぁ!?」