だから、由奈からなら、なにか手がかりになるような話を聞けるかと思ったんだけど…。


「万里くん…だっけ?どんな人なの?」

「…えっと。背が高くて、銀髪で――」


わたしは、万里くんのことについて由奈に話した。

由奈は親友だから、気軽になんでも話せる仲。


一方的にわたしが話しているだけだけど、由奈は静かにうんうんと聞いてくれている。


しかし、なぜ記憶を失くす前のわたしは、こんなにも仲のいい由奈に、彼氏である万里くんのことを話していなかったのか――。


そこは…、不思議に思う部分ではあるけど。


『彼氏ができた』となったら、一番に由奈に報告しそうなものだけど――。



「見た目は派手だけど、病院にも頻繁に通ってくれて、優しい人なのは確かなの。さっきも、わたしの転校初日が心配だったみたいで、わざわざ電話もくれてさっ」