でも、由奈のこの言い方だと、わたしは記憶を失くす前に彼氏の話をしていたようだ。


おそらく由奈は、わたしの彼氏のことを知っているはず…!


「…教えて、由奈!万里くんって、どんな人!?わたしたちって、どういう付き合いをしてたのかなっ…!?」


なにか聞けると思って、食い気味になってしまったせいだろうか…。

由奈が若干気まずそうに、ぎこちない表情を浮かべているのがわかった。


「ば…万里くん…?それが、慈美の彼氏の名前なの…?」

「…そうだけど。…由奈は知らない?」

「…ごめん。慈美に彼氏がいることは聞かされてたけど、顔や名前とかは知らなくてっ…」

「そう…なんだ……」


由奈はなにも悪くないのに、わたしはあからさまに肩を落としてしまった。


他に、わたしのことをよく知る人物はいない。