一之瀬くんは席に戻ってくると、わたしに教科書を返してくれた。


遅刻してきて席に着いてから、まったく会話はなかっけど――。

どうやら…こわい人ではないようだ。



――たまたま、隣になった席。


これが、わたしたちの運命の出会いになるなんて…。

このときのわたしは、知るはずもなかった。