友達の彼氏だと思ってた同級生は、私を溺愛する最強総長さまでした。~ONE 史上最強の暴走族~

だから、わたしと万里くんの言い争う声が隣にも聞こえていたようだ。


「…ったく、うっせぇな」


万里くんは舌打ちをし、叩かれた壁を睨みつける。


その瞬間に、わずかな隙が生まれた。

万里くんが壁を睨みつける際に、手を止めたのだ。


わたしはその隙を見逃さず、思いきり力を込めて、上に乗る万里くんを押しのけた。


バランスが崩れ、ベッドに転がる万里くん。

それを見て、わたしは無我夢中で部屋から飛び出した。


「待て、コラ!慈美!!」


あとから万里くんが追いかけてくる。


外は、土砂降りの大雨だった。

そんな中、わたしは街灯の灯りだけを頼りに、裸足のまま万里くんから逃げた。


バイクできていた万里くんには、すぐに追いつかれることはわかっていた。


だから、万里くんのバイクの音が聞こえたら、わたしはすぐに物陰に隠れた。