ふと違和感がして目元に手をやると、指にしずくがついた。

――涙だ。


どうやらわたしは、夢を見ながら涙を流していたようだ。



ゆっくりと体を起こすと、わたしは見知らぬ部屋にいた。


窓から流れ込むそよ風でなびく、白いカーテン。

わたしの体を包み込む、柔らかい布団。


おそらく、ここは…。

病室…?


…でもわたし、どうしてこんなところに――。


体がだるくて、頭がぼうっとして…。

まだ夢の中にいるような。


そんな虚ろな目をするわたしの顔が、すぐそばの棚にあった鏡に映っている。



…そのとき、病室のドアが開いた。


慈美(いつみ)…?目を覚ましたのか!?」


ドアを開けた音とともに、そんな声が聞こえて、わたしは驚いて思わず体をこわばらせる。


そこに立っていたのは、銀髪の男の人。