「どういう意味だよ?」


わたしを睨みつける万里くん。

その視線が刺さりながらも、わたしは口を開いた。


「わたし…。好きな人ができたからっ……」


万里くんに萎縮して、語尾になるにつれて声が小さくなっていく。


でも、…言えた。

万里くんに、直接。


「違う人のことを想ったまま、…これ以上万里くんとは付き合えないよ。自分勝手なことを言っているのはわかってる…。だから――」

「だったら、そんなヤツのことなんて忘れちまえよ!!」


万里くんが突然立ち上がったと思ったら、わたしの左頬に重くて鋭い痛みが走った。

一瞬、なにが起こったのかわからなかったけど、徐々に熱を帯び、ヒリヒリとした痛みを伴う左頬。


姿見に、左頬を抑え、呆然としているわたしの顔が映っていた。


それでようやく…理解した。