「…今、なんて?」


目を大きく見開け、俺を見つめる由奈。

まるで、この世の終わりが迫っているかのような呆然とした顔をしている。


「さっき話したとおりだ。これ以上、由奈とは付き合えない。…だから、別れてほしい」



由奈が『ユナ』であるとわかってから、由奈はこのONEのアジトへ頻繁に出入りするようになった。

そして、記憶のない俺に献身的に尽くしてくれた。


付き合っていたときの話をしてくれたりするが、俺はまったくそのときの記憶を思い出せない。


メンバーは『ユナ』が見つかって大喜びで、由奈とも親しくなって、毎日のように俺のためと言って由奈を呼ぶが――。

俺の中では、由奈がそばにいても、いまいちピンときていない。


由奈がいても、どこか気を遣ってしまったり…。

自然体でいられない。