友達の彼氏だと思ってた同級生は、私を溺愛する最強総長さまでした。~ONE 史上最強の暴走族~

どうやら一之瀬くんは、由奈のことを思い出したようだ。

そして、どこか落胆したようにため息をつく。


「慶、今回も人違いだよ。…それに、もう探す必要もない」

「…どうしてですか、総長!?」


驚いて聞き返す慶さんに、一之瀬くんは笑ってみせる。

だけど、その笑みは…見ていてとても切ない。


「これだけ探してもいないんだ。もしかしたら、『ユナ』は実在しない…俺が作り上げた架空の人物なのかもしれない。今は、幻とさえ思っている」

「…そんなわけありません!じゃなきゃ、総長が夜な夜な『ユナ』の名前を呼んで、うなされるわけが――」

「それに、もし本当に『ユナ』がいるのなら、とっくに俺に会いにきているはずだ。それがないってことは、俺はもう必要ないか、そもそも『ユナ』は実在していなかったということだ」