どこもかしこも真っ暗な世界。

そんな場所に、わたしは1人ぽつんと立っていた。


まるで、足元から闇に飲み込まれてしまいそうだ。

不安と恐怖にかられる、わたし。


だけど、そのとき頭の中に響いた――ある言葉。


『なにがあっても愛し抜く』


なんだか落ち着く低い声。

揺るがない想いのこもった声のトーン。


わたし、――知ってる。

この人のことを、知っている。



……でも、…だれ。


大切な人のはずなのに…。

顔に、もやがかかったように思い出せないよ。


あなたは…一体。

だれ…?



ハッとして、目を覚ます。


わたしの視界には、真っ白な天井と、なにかをつかむかのように伸ばした右手が映っていた。


なんだか…頭がぼうっとする。

まるで、終わりのない長い長い夢を見ていたような感覚だ。